運用成果の93.6%は資産配分計画(アセットアロケーション)によるということがなぜ言われているのか?

「運用成果の8割以上はアセットアロケーションで決まる」とよく言われている。最初にその重要性を明らかにしたのは、1986年のBrinsonらの研究である。この研究は、米国の91の年金基金を対象に1973年から1985年の四半期リターンの変動がポリシーアセットアロケーション(事前に決定したアセットアロケーション)のリターンの変動によって、93.6%説明されることを示した。

アセットアロケーションはリターンの93.6%を決定するという、圧倒的な重要度がこの論文によって示されています。

論文「Determinants Of Portfolio Performance」の要約 - 投資信託のブログ|ファンドの海
http://www.fund-no-umi.com/blog/2008/01/determinants_of_984a.html

ここで訳していることが本当か、疑ってみる。

アセットアロケーションの研究は、年金基金が対象となることが多いです。有名なBrinsonらの研究でも、分析対象は年金基金ポートフォリオでした 。年金の運用では、運用者側はパフォーマンスが悪いと年金基金から解約されますので、解約を恐れて銘柄選択でもタイミングでも大きなリスクを取りません。資産配分を管理する年金基金にしても、実際の資産配分を計画のウェイトからあまりズレないように管理します。なので、実際のポートフォリオは、計画ポートフォリオからあまりズレないのです。実際のポートフォリオは計画ポートフォリオからあまりズレないのだから、実際のポートフォリオのリターンが、計画ポートフォリオのリターンで9割方説明できるのは自然なことです。

Brinson他が言うところの80%や90%は、ファンドや個人間のリターンの違いについては言及していません。あくまで全く同じアセット・アロケーションを組んだ場合のパフォーマンスはほぼアセット・アロケーションで説明がつくという話です。

という人もいる。